魔法使いは森の奥 【1:1】

アキヒト(♂):

ユキ(♀):


アキヒト「やぁやぁ、良く来たね。そろそろ来る頃かと思っていたよ」


ユキ「………」


アキヒト「外は冷えただろう?さぁ、中へ入って。…あぁ…凍えてしまってるね、何か暖かい飲み物を入れよう。あとは…」


ユキ「あの。……私…予約とかしてないんですけど…」


アキヒト「ん?あぁ、知ってるよ?うちに、予約なんてもんはないしね」


ユキ「でもさっき…そろそろ来る頃って……」


アキヒト「……あぁ。君がこの森に入った時から、ずっと気配がこちらに向いていたからね。……少し迷いもしたようだけれど」


ユキ「………」


アキヒト「……そんな顔をしないでおくれよ。別に馬鹿にしてるわけじゃないさ。……さ。本題に入ろうか?…ここを探して来たということは…」


ユキ「……そうです。私を…殺してほしいんです…」


アキヒト「……殺すなんて人聞きが悪い。…でも…本当に良いのかい。体は壊しちゃうから戻れなくなるよ?…二度と。」


ユキ「……いいんです……だって……私……」


アキヒト「………」


ユキ「………………ずっと…!RPGのキャラクターになりたかったんです!!!」


アキヒト「うわっ…」


ユキ「村人Aでもスライムでもなんでもいいから!あの世界に生きたいんです!こんなつまらない3次元より!あっちの世界に!昔からの夢なんです!」


アキヒト「……そ、そう…かい。まぁ…僕は別に良いけどさ…。…じゃあ…早速始めようか。」


ユキ「それは…?」


アキヒト「…これは君の精神と体を分離させるための装置。これを頭に付けて……あ、あと…服、脱いでくれる?」


ユキ「は?!」


アキヒト「体にも貼るんだよ。下着まででいいから。」


ユキ「いや、でも…そんな…ッ」


アキヒト「はぁ…もうその体捨てるんだから別に恥ずかしくないだろ。次目覚めた時には、あっちの世界なんだから。」


ユキ「……う…そうですけど…………わ、わかりましたよぉ………こ、これで…良いですか?」


アキヒト「うん、OK。じゃあ横になって。……いいね。じゃあこれから君の意識を奪うよ。何かやり残している事とかないかい?もうこっちとはおさらばになる訳だけど。」


ユキ「大丈夫です!こっちの世界になんか、もう悔いなんてありません!」


アキヒト「……''いいんだね''……分かったよ。じゃあ……おやすみ。ユキちゃん」


ユキ「え…なま…え………………」



アキヒト「…………分離成功…なーんて。馬鹿だなぁ…ゲームの世界なんかに入れるわけ…ないのに。最近の若い子は…少し噂話を流すだけで、すぐに身を差し出す…。おかげで、僕は魂を仕入れるのに苦労もしない。…しかも…体まで手に入るから、お金にも困らない。……はは…ははは…!…馬鹿な子達……これだからやめられないね………じゃあ…新鮮なうちに……魂…いただきます。」



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シリアスと見せかけてギャグと見せかけてホラー。

涼しくなった?ならない?あ、そう?

短編です。

気が向いたら続き書くかも知れません。


mikiです。

mikiが気まぐれに作った台本を置いています

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