【化け狐と少女】① 2:2
( 'ω'o[演じる時のポイント]o
『①この台本では重要な部分以外はルビを振っていません。(童 等)振っていない部分に関しては正解の読み方は特にありませんので、演者さんが思った読み方で読んで頂ければと思います。
②物語の進行上、脇役気味になってしまっているキャラがいます。人数が足りない場合等は兼ね役にしていただいても構いません。
③基本かとは思いますが、読み込みをしっかりしてください。』
喜助(キスケ)♂ 兄弟に見捨てられ独りになった化け狐の男。優しさに溢れている。色々な言葉が混ざった不思議な喋り方をする。
桜(サクラ)♀ 親に捨てられた、"視える"力を持つ少女。おとなしく素直。
お清(キヨ)♀ 街で仕立て屋を営む、姉御。クール。
遊乱の男(ユウラン ノ オトコ)♂ 【遊乱】の用心棒。おちゃらけた性格で自分の欲しいものは確実に手に入れる。
役表
喜助(♂):
桜(♀):
お清(♀):
遊乱の男(♂):
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喜助「(煙管を吸いながら) やな世の中になったもんじゃのう‥」
桜「‥‥…」
喜助「‥子を産み‥この木の下に捨てる‥」
桜「…‥」
喜助「こっちからすりゃ‥迷惑以外のなんでもねぇなあ…」
桜「……おにいさん‥」
喜助「…‥こりゃ驚いた‥‥わしが見えるんかい」
桜「…?…きせる の‥おにいさん‥」
喜助「あいあい。‥なんだい、童」
桜「……おにいさん…は…ッ」
喜助「ありゃ‥栄養失調てとこか…しゃあないのぉ…‥」
(間)
桜「…‥ん‥‥ここは‥」
喜助「きぃついたかい。ここは…そうさなぁ…‥わしの住処‥とでも名付けとこうかぁ」
桜「住処‥‥」
喜助「そうさ。…腹へっちょる思うての、色々作うてみたんじゃが…何か‥苦手なもんあるかの‥?」
桜「…‥ごはん‥?…くれるの‥?」
喜助「‥‥あぁ。嫌いなもんなきゃぁ‥好きに食べい」
桜「‥‥ありがとう…ッ」
喜助「…気にすることはなき。今、お前がするんはしっかり食べるこっちゃ。」
桜「うん…‥」
喜助「……はは、いい食べっぷりだ。」
桜「…ッん…おにいさん…は、人じゃない…よね」
喜助「…おや…そこまで分かるんかい。お前さん、"視える"子なんやの」
桜「……」
喜助「…そうさな…わしは…化け狐。兄弟共に見捨てられた、一人ぼっちのバケモンじゃ。」
桜「バケモノ……」
喜助「………。…そういや…お前さん、名は。」
桜「な…まえ…?」
喜助「おう。いつまでも童は、やじゃろ」
桜「なまえ…わからない……」
喜助「……はぁ…名もつけてもらっとらんのかい。」
桜「……ごめんなさい…」
喜助「謝ることじゃなき。‥…そうさなぁ……桜……桜の木の下でお前さんと出会ったけぇ、桜……なぁんて…安直すぎるかの」
桜「………さくら…?」
喜助「………あー……すまんの…や‥やっぱり…こういうもんはちゃんとした奴につけてもらっちゃる方が……」
桜「……さくら…が…いい。」
喜助「あ…‥?‥‥お‥おおぅ‥そうかい…お前さんが気に入ったんならよき」
桜「……狐さんのなまえは…?」
喜助「あー…わしか。わしはの、「喜助(キスケ)」っちゅうんや」
桜「きすけ……」
喜助「そうさ。…さぁて‥お互いの名も知れたことやしの‥‥桜!…着物を買いに行くぞ」
桜「…きもの………?」
喜助「そうさな。…いつまでもそないな布切れじゃいかん。…じゃが、わしの住処には童用の着物はないんじゃ。やからの、買いにゆこう!」
桜「……でも…きすけは…人に"視えない"…よね?」
喜助「そこは心配いらんき。知り合いに商いやっちょる奴がおるんじゃ。」
桜「……でもお金…」
喜助「でもでも‥は無しじゃぞ。桜はもっと甘えてええんじゃ。それが童の仕事やきの。」
桜「……ごめんなさい……わたしの…ために…」
喜助「桜。こういう時はの、「ありがとう」じゃ」
桜「‥‥…あり…がとう…」
喜助「…ふっ。よし!ええ子や。…さ。早速いくで、桜。ほら、手を出しぃ」
桜「………喜助……あったかいね」
喜助「ん‥そうかの?…桜こそ…温いの‥」
桜「…‥えへへ…」
(間)
喜助「ついたぞ、ここじゃ。」
お清「わぁ!喜助じゃないかぁ~!久しぶりぃ!!」
喜助「うぉっ‥!?」
桜「…?…こども…?」
喜助「‥なんでお前さんまで童の姿でおるんじゃ。さっさと元にもどらんか‥」
お清「…つまらんねぇ…」
桜「…?!‥おとなに…なった…」
お清「…ん…?そう言えばあんた、さっきから私が見えてんだね…?まさか…"視える"子…喜助、ちょっとこっち来な。(耳摘む」
喜助「いだだだだッ!!?ちょ、もっと優しくしてぇな!」
桜「……?」
お清「いいから!…(小声)あんた…何考えてんだい…私達が"視える"ってことは…」
喜助「分かっちょる。じゃが…ほっておけんのじゃ。………」
お清「……馬鹿だね。あんた。」
喜助「うっさいわ」
お清「……浴衣、選びに来たんだろ?こっちにおいで童」
桜「…あ…」
喜助「大丈夫じゃ。悪い女ではないからの」
桜「……うん。」
お清「……さあ。どんな浴衣を御所望だい?」
桜「…………わからない…」
お清「あー……そうよねぇ…んー……」
桜「……‥ごめんなさい…」
お清「…?何謝ってんだい。…そうねぇ、じゃあ…‥」
(間)
お清「はい。お待たせ、大和撫子出来上がり♪」
喜助「…お。終わったかい。さてどんな………(煙管を落とす」
桜「……き、きすけ…?」
喜助「…………見違えたの…」
お清「でしょう?元が良いのね。」
喜助「あぁ…‥ありがとな、代金は…」
お清「お安い御用さ。…あぁ、いいよ。代金は要らん」
喜助「はぁ‥?なぜじゃ?」
お清「いいから…早く帰りな。私の気が変わらないうちにね。」
桜「……あ‥えっと…き、きよさん。ありが‥とう。」
お清「…!…喜助、あんたがこの娘にこだわる理由が分かった気がするよ」
喜助「そうじゃろ?はははっ。」
(間)
桜「…きすけ‥?どうしてそんな…離れて歩くの?」
喜助「……いや…あー……なんというたら良いか…」
桜「……きらいに…なった…?」
喜助「そんなわけないじゃろう!!」
桜「……ッ!」
喜助「あ…いや‥すまん。………ただ…お前さんがあまりにも綺麗じゃけぇ……その‥直視…出来んのじゃ」
桜「…!…きすけ…‥かお…あかい。」
喜助「……言うな」
桜「……ふふふ」
喜助「……お前さん、よう笑うようになったの。」
桜「‥そう…かな」
喜助「おう。……ずっと…笑っとき」
桜「……うん。」
喜助「……ふ。」
遊乱の男「……ありゃ、旦那ァ。可愛い娘連れてるじゃないですかァ」
喜助「……何か用か、遊乱の犬」
遊乱の男「おうおう、酷い言われようだ」
桜「……?」
喜助「桜、俺の背から出ちゃ行かんぞ」
遊乱の男「…わ~らべ♪こーんにちは。おめかしして…お出かけかい?」
喜助「お前には関係ないじゃろ、さっさと消えんか」
遊乱の男「俺は童に聞いとるの。旦那はちょっと黙っといてくれや…」
喜助「ッぐ…!!?」
桜「…!!きすけ…!」
遊乱の男「…はは‥どうしたァ?むっかしより弱くなっちまってんじゃねぇかァ?自慢の刀は?"力"は?ははははは!!!」
遊乱の男「くくくっふぅはははッ…ふぅ‥さぁて童ちゃん。…お前さん、遊乱に興味は無いかい?」
桜「ゆう…らん…?」
喜助「耳を貸すな!桜‥!」
遊乱の男「二度も言わせんじゃねぇよォ!旦那は黙っときなァ!」
桜「…!や、やめて!きすけにひどいことしないで…!……‥遊乱って‥なんなの…」
遊乱の男「ありゃ。遊乱を知らない…?妖なら知ってるもんだと思っていたが…」
喜助「はぁ…ぁ…その子は人の子じゃ…‥あんたらの利益にはならん…!」
遊乱の男「人の子…!?…なんだよ…"視える"子か…チッ…確かに利益にはならんな…」
喜助「分かったら…さっさと消えんか…ッ」
遊乱の男「そうだなァ……だが‥旦那。知ってるかァ?近頃…"視える"子の力を利用して…妖の頂点に立とうという奴がいるんだぜェ?」
喜助「…ッな…」
遊乱の男「そいつらに渡せば…ククッ…いくら貰えんだろうなァ‥?」
喜助「そないなこと…させるか…ッ!」
遊乱の男「旦那に何ができるってんだ……俺ごときにも勝てない…あんたになァ!!」
喜助「う‥ぐぁぁ!!」
桜「きすけッ…!」
遊乱の男「はははッ‥!あんたはなんて無力なんだ…大事な童が狙われているというのに…ククッ…」
喜助「くそ…ッ」
遊乱の男「さて、童。俺と一緒に来てもらうよ…安心しな。ちょこ~っとだけ…力を貸してもらうだけさ」
桜「…ッん!!」
遊乱の男「いっだ!!…この…餓鬼がァ!!」
喜助「!!桜ッ…逃げッ!」
遊乱の男「ぐぁぁッ…!!?」
お清「…女に手を出す輩はあたしが許さないよ」
遊乱の男「…お前は…お清!?なぜここにッ…」
お清「おや‥あたしの事を知ってんのかい」
喜助「き…よ…」
お清「情けないねェ、喜助。大切な童一人も守れんのかい?」
喜助「す‥まん‥」
お清「ハァ…悪いね。本来なら若造共の喧嘩にあたしなんかが首を突っ込むモンじゃないんだろうが……ご生憎様、あたしはその童が気に入っててね。…その子に手を出すんなら…黙っちゃおけないよ」
遊乱の男「チッ…あんたが相手じゃ…仕方ない。ここは一旦退いてやるよ。‥だが‥覚えとけ。俺は‥一度狙った獲物は…逃がさない」
お清「…‥退いてくれた…か。」
喜助「きよ…何故…」
お清「童の浴衣から悪い気配を感じたのさ」
喜助「そう…か…あの浴衣は…きよが拵えたモンじゃったな……ッ」
お清「…その様子じゃ動けそうにはないな…よいしょっと…」
喜助「…はは‥相変わらず‥怪力…じゃの‥」
お清「うっさいわ」
(間)
桜「…きよ‥さん。きすけは…」
お清「安心しな。体力を消耗して、気を失ってるだけさ」
桜「よかった…」
お清「…馬鹿な子だよ…こいつは」
桜「え…?」
お清「…本当は…こんなに弱くはないんだよ。狐の"力"ってのは‥妖の中でも恐れられる程には強い。だが‥それを使わなかったのは…」
喜助「きよ、言うな」
桜「…!きすけ‥」
お清「案外早いお目覚めね」
喜助「あぁ…世話をかけたの」
桜「……ッ」
喜助「…?さくら…?」
桜「ッ…ぅ…あ…ヒッグ…ぅう…」
喜助「…!ど、どうした。どこか痛いのか?何かこの女にされたか?!」
お清「殴るぞ、喜助。…お前が心配だったんだろう。童は」
喜助「俺を‥?心配…」
桜「ひぐッ…う‥しんじゃうかと…ッ…おもった‥」
喜助「…そう‥か‥桜が‥俺を……すまんな、桜。じゃが‥わしは体の丈夫さはどの妖よりも自信あるけぇ、大丈夫じゃ!」
桜「…うぅ‥ッ…」
喜助「あぁ…どうすれば良いんじゃ…さくら、どうすれば‥泣き止んでくれる…」
お清「ハァ…不器用ねェ‥どちらも…」
喜助「…そうじゃ、桜!面白いもん見せちゃる!」
桜「ひぅ…ぅ…?」
喜助「ふっふっふ。よぉく、みちょれよ?」
お清「おい…今は…」
喜助「……よっと…!」
桜「…!…ねこになった…」
喜助「にゃぁお。っての!桜は‥猫は好きか?」
桜「嫌いじゃない…」
喜助「そうかそうか!…じゃあ狐はどうじゃ?」
桜「‥狐?…ふわふわ‥してそう」
喜助「そ、そうか!嫌いではないんじゃな!よかったよか…った……」
桜「…!喜助ッ」
お清「言わんこっちゃない…そんな状態で変化(ヘンゲ)するからよ…」
桜「……きよ‥さん」
お清「…?なんだい?」
桜「…お願い…あるの…」
桜「…"視える"子のこと…教えて…‥」
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別アプリにて投稿していた台本『化け狐と少女』のリメイク版です。
気になる終わり方で申し訳ない(フッフッフ)
喜助の喋り方は自分のただの好みです。
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